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「ちゃんと自分で考えなさい!」
子育てをしていると、つい口にしてしまう言葉ですよね。
実は私も、以前、息子に言ったことがあります。
すると息子から、こんな言葉が返ってきたんです。
「考えてるよ! 考えてもわからないから、聞いてるんじゃん!」
そのとき、ハッとしました。
確かに、そのとおりですよね。
息子は、何も考えずに聞いていたわけではない。自分なりに考えて、それでもわからないから聞いていたんです。
なのに私は「考えなさい!」と言ってしまった。
では、考えてもわからない子どもに、大人は何をしてあげればよいのでしょうか?
あの一言があってから、私は「考える」ということについて、ずいぶん考えるようになりました。
関連する文献をたくさん読みました。それと並行して、IT自由研究室では子どもたちと、大学では学生たちと会話を重ね、一人ひとりが何を手がかりに考え、どこでつまずき、どうやって答えに近づくのか。その思考のプロセスを、具体的に観察してきました。
文献に書かれたことを目の前の姿と照らし合わせ、確かめ、また文献に戻って考える。その繰り返しの中で、私自身も「考える」ということを、深く学び、実践してきたんです。
そうしてたどり着いたのが、「もっと考えなさい!」と言うのではなく、「どうやって考えればいいのか」を一緒に整理することの大切さです。
そして、この考え方を軸にIT自由研究室の教材や声かけを工夫し、子どもたちと取り組むようになると、集中の仕方も、スキルの伸び方も、私の目には見違えるほど変わってきたんです。
考え方そのものを練習することには、大きな意味がある。子どもたちの姿から、そう実感しています。
「考える力を育てる」。では、何を教えればいい?
「考える力」「論理的思考力」。教育の場では、よく耳にする言葉です。
でも、「考える」って、具体的に何をすることでしょう?
プログラミングを習えば、自然に論理的思考力がつく。そう思われることもありますが、私は、プログラミングをただ体験するだけでは不十分だと考えています。
大切なのは、プログラミングを学ぶ過程で、「考えるときの手順」を繰り返し使ってみること。
そこでIT自由研究室では、これを「考える3つの型」として整理しています。
① 細分化の型 ── 大きな問題を、小さく分けてみる
例えば、子どもが「ゲームをつくりたい!」と言ったとします。
いきなりプログラムをつくろうとしても、どこから始めればいいのか、わからなくなることがあります。
そこで、まず「どんなものが登場する?」「それぞれ、どんな動きをする?」と分けて考えてみます。
下の写真は、ゲームづくりのための「細分化note」に書かれた実例です。
ネコや女の子、鍵など、登場するものが描かれています。そして、「何がどう動くのか」も、自分の言葉でメモしています。
別のノートでは、キャラクター、障害物、ゴールを分け、「触れるとどうなるか」まで整理しています。
一つひとつを見れば、決して難しいことばかりではありません。
でも、頭の中にある「つくりたいもの」を、具体的な要素と動きに分ける。これが一つ目の型です。
② 課題発見の型 ── 「どうしたい?」と「今どうなっている?」を比べる
次は、何かがうまくいかなかったときです。
思ったようにキャラクターが動かない。画面に何も出てこない。
そんなとき、やみくもに操作を続ける前に、いったん手を止めてみます。
- 本当は、何がどうなれば正解なの?
- 今は、何がどうなっているの?
- その二つは、どこが違うの?
「うまくいかない!」を、「ここが違う!」に変えること。
問題が具体的になると、次に試すことも見えてきます。
大人がすぐに正解を教えるのではなく、子どもが違いに気づけるように問いかける。ここに、教える側の工夫があると思っています。
③ パターン化の型 ── 前に学んだことを、別の場面でも使う
もう一つが「パターン化」です。
これは、似ているものを分類したり、共通するルールを探したりして、ほかの場面にも応用してみることです。
例えば、「これ、前につくった動きと似ていない?」と考える。
以前つくった仕組みの一部を使えれば、毎回ゼロから考える必要はありません。
この考え方は、プログラミングだけのものではありません。勉強の解き方にも、スポーツの練習にも、日常生活にもつながります。
つまり、私たちが育てたいのは、目の前の教材を完成させる力だけではないんです。
一度覚えた考え方を、自分で取り出して、次の問題に使える力。 そこまで育てたいと思っています。
ご家庭でも、「考えなさい」を少し変えてみませんか?
例えば、お子さんが宿題を持ってきて「わからない!」と言ったとき。
「ちゃんと考えた?」の代わりに、こんな声かけはいかがでしょう。
- 細分化:「問題のどの部分がわからない?」「わかるところはどこ?」
- 課題発見:「何を答えればいい問題なの?」「どこで止まった?」
- パターン化:「前に似た問題をやらなかったかな?」
もちろん、それでもわからないときには、教えたり、一緒に調べたりしていいんです。
助けを求めている子に、ただ「自分で考えて!」と言い続けることが、自立につながるとは限りません。
小さな問いに分けて、一歩進めた。「あ、ここならわかる!」が増えていくこと。その積み重ねが大切なのではないでしょうか。
「考え方」は、練習できる
息子に「考えてるよ!」と言われて、ハッとしたあの経験。
振り返れば、子どもに必要だったのは、もう一度「考えなさい」と言われることではなく、考えを進めるためのヒントだったのかもしれません。
IT自由研究室では、プログラミングの作品づくりを通して、細分化・課題発見・パターン化という「考える型」を繰り返し使うことを大切にしています。
できなかったことを、少しずつ自分でできるようにする。その過程を、ぜひ体験会でも味わってみてください。
参考資料
- 教育観・学習観の基礎となった文献 佐伯胖『「学び」の構造』など
- 考える手順や思考法に関する参考図書 『東大生の考え型』『東大思考』など
